100 Best Albums
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- 1959年8月17日
- 5曲
- The Best Of Miles Davis · 1985年
- 'Round About Midnight (Legacy Edition) · 1957年
- Kind of Blue · 1959年
- Ballads & Blues · 1960年
- Kind of Blue · 1959年
- Kind of Blue · 1959年
- Kind of Blue · 1959年
- Someday My Prince Will Come · 1961年
- Kind of Blue · 1959年
- Miles Davis Jazz Monument · 1954年
必聴アルバム
- 同時期のスライやJBに触発されたマイルスが、究極のグルーヴを求めて生み出した異形のファンクアルバム。メンバーはチック・コリア、ハービー・ハンコックらおなじみの顔ぶれに加え、多彩な才能が参加。現代音楽家カールハインツ・シュトックハウゼンのコンセプトを血肉化することで、従来のジャズやソウル/ファンクには出現し得なかった新しい語法のブラックミュージックを誕生させている。ミニマルミュージックのごときリズムやリフの断片が重層的に響くポリリズムと、タブラやシタールを交えたカオティックなサウンドには、定型としてのファンクのフォーマットやグルーヴはみじんもない。ヒップホップやテクノ、ドラムンベースなど、先鋭的なストリート/クラブミュージックを経過した耳をもってしてもなお、そのサウンドは実にユニーク。
- 1人のアーティストが、1つの楽曲やアルバムによって開かれる真理の扉に気付いたとき、果たしてどんな潜在力を発揮するのか。そのことを雄弁かつ冷静に証明することになった本作では、作者が自身の抱える能力をも超えてしまう。「Bitches Brew」という神秘は、そのようなものとしてしか語れない。具体的には電気楽器の大幅な導入、ポリリズムの多用などが挙げられるが、それはジャズから逸脱したロックでもファンクでも、あるいはアフリカ音楽を起源とするものでもなく、純粋に"サウンド"としてのあり方を追求した産物である。マイルスはこの歴史的1枚をも通過点とし、次なるサウンドを求めさまよう。
- 急速な変化を伴うマイルス・デイヴィスの成長過程において、本作が録音された1969年前後はさらに加速度を増す。ある種、過激ともいえるこの時期、俗にいうエレクトリックマイルスが本作によって全貌をあらわにした。鍵は2人の新顔ジョン・マクラフリンとジョー・ザヴィヌル。冒頭、16ビートを刻むハイハットに煽動されながら各楽器が自由に奏でる"Shhh/Peaceful"。その神秘的な空間は、現在と未来を結ぶ時間の軌道をイメージさせる。プロデュースのテオ・マセロによってテープ編集が施されたことでも話題となったが、そこには既存のジャズからの脱却を図る新生マイルスをイメージ付ける意図もあった。
- 1950年代後半から1960年代初頭にマイルス・デイヴィスは、作曲家/編曲家のギル・エヴァンスと組んで3枚のアルバムを制作した。「Sketches of Spain」は、その最終作である。スペインの作曲家、ホアキン・ロドリーゴの名作「アランフェス協奏曲」の"第2楽章アダージョ"や、マヌエル・デ・ファリャの楽曲"Will O'the Wisp"をこれまでのジャズの常識を超える複雑で斬新なアンサンブルでアレンジ。また、フラメンコのリズムや形式を取り入れたオリジナル"Saeta"や"Solea"など、スペイン音楽の郷愁をジャズの根源であるブルースで表現。彼はこのアルバムで一瞬の気の緩みも許されない緊張感の中、全身全霊を込めて繊細な演奏を披露している。今も多くの音楽ファンに聴き継がれているジャズの芸術性を高めた野心的な作品。
- マイルス・デイヴィスは、ジョン・コルトレーンなどを擁した最初の偉大なクインテットを解散させ、新たなクインテットを結成する前の1959年に、新たなジャズのスタイルに挑戦した。後にそれがモダンジャズ史上最大の作品の一つになると知る由も無かった。当時のジャズ界は、ビバップからポストバップへと目まぐるしく展開していた時期であり、多くのジャズミュージシャンたちは、行き詰まりを見せていた即興演奏のハードルを越える必要があった。中でもマイルスは、ビバップの覇者であるチャーリー・パーカーのクインテットでディジー・ガレスピーの後継者として活動しており、誰よりもそれを理解していた。こうして録音された『Kind of Blue』は、複雑なコードチェンジを無くし、コード間の時間を長くして音楽に大幅なスペースが生み出した。これによって即興演奏家たちは、一息ついて楽曲と冷静に向き合えるようになった。 マイルス・デイヴィスは、落ち着きながらもギル・エヴァンスやジョージ・ラッセルなどの当時の先鋭的なジャズの作曲家/編曲家や、ドビュッシーやサティなどのクラシックの作曲家の和声的思考から影響を受けた新たなサウンドを打ち出した。その意味では、『Kind of Blue』は、約10年前に録音されたクールジャズのスタイルを提示した『Birth of the Cool』の続きであり、おそらく10年後に発表される、幻想的なエレクトリックジャズの幕開けとなる『In a Silent Way』の前触れといえるだろう。収録曲の中でも、2曲の印象的なバラードである「Blue In Green」と「Flamenco Sketches」には、マイルスのハーマン社のワウワウミュートを使用した代表的な演奏が収められており、金属的でありながら寄り添うような優しいサウンドは、多くのジャズトランペッターに影響を与えている。
- レコード会社移籍後、最初に録音されたアルバム。レーベルをまたぐ時期だったことに加え、この直後に前レーベルに残されていた契約上のノルマを消化するために敢行されたアルバム4枚分の録音、通称"マラソンセッション"とも重なったことから、怒濤の時期に発表されたものと認識されている。しかし、マイルスはその重圧をも味方に付けた。セロニアス・モンク作の冒頭曲"'Round Midnight"では、楽曲の物語性を沈思するようにありったけの創造力を動員、移籍第1弾にふさわしい力演を見せる。逝去直後の恩師チャーリー・パーカーの"Ah-Leu-Cha"を取り上げているのも印象深い。
- 2019年
アーティストプレイリスト
- モダンジャズの歴史を塗り替えた、天才トランペッターのキャリアを俯瞰する。
- 新たなジャズを模索した60年代後半から晩年のエレクトリック時代の革新的な演奏。
- スタジオで完璧主義を貫く“ジャズの帝王”による即興への探究心がライブで開花。
- 2024年
- 2022年
参加作品
マイルス・デイヴィスについて
モダンジャズの歴史上、最も多くの革新的なサウンドを生み出したトランペッター、マイルス・デイヴィス。1926年生まれ。ミュートを効果的に使ったエレガントな演奏や、アレンジの細部にまでこだわった楽曲制作など、モダンジャズ黎明(れいめい)期の最前線で活躍。アルバム『Kind of Blue』(1959年)では、これまでのジャズにおけるアドリブの概念を一新させる“モードジャズ”を提示。『Bitches Brew』(1970年)では、ロックやファンクの手法を大胆に取り入れてフュージョン/クロスオーバーの時代の扉を開けるなど、その動向はジャンルを超えて多くの音楽ファンから注目された。1991年、65歳で亡くなる直前までヒップホップを取り入れた新作に取り組み、常に新たなサウンドを追い求めた生涯は、現在もさまざまなアーティストに影響を与えている。
- 出身地
- Alton, IL, United States
- 生年月日
- 1926年5月26日
- ジャンル
- ジャズ