ザ・フー

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ザ・フーについて

ザ・フーを早くから追いかけたファンを待ち受けていたのは、長く、波乱万丈な旅だった。The Detoursやハイ・ナンバーズとして短期間活動した後、リードシンガーのロジャー・ダルトリー、ベーシストのジョン・エントウィッスル、ギタリストのピート・タウンゼント(全員ウェストロンドンの学友だった)、そしてドラマーのキース・ムーンは、1964年にザ・フーとしてデビューシングル「I Can’t Explain」をリリースした。ポップアートとR&Bを合体させた奇襲攻撃隊のようなバンドは、間もなくロック界随一のダイナミックなライブバンドへと成長する。「My Generation」(1964年)、「Substitute」(1965年)、「I Can See for Miles」(1967年)など、フィードバックとディストーションの神にささげられたかのような、強烈なギターとドラムサウンドのヒットシングルを次々とリリースした。それはおそらく、ライブ後にホテルの部屋を破壊するというザ・フーの前代未聞の行動の前触れだったのかもしれない。1970年の『Live at Leeds』では最初から最後までバンドの動的な魔力が荒れ狂い、ダルトリーの労働者階級らしい自信たっぷりな態度とタウンゼントのウィンドミル奏法が放つパワーコードが、エントウィッスルのひそやかな妙技とムーンの取りつかれたようにパーカッシブなリズムセクションの上で揺れ動いていた。そして、彼らのスタジオアルバムにおいては、ライブに劣らない威勢の良さだけでなく、より一層の洗練が感じられた。タウンゼントの精神性が反映された『Tommy』は1969年にロックオペラをメインストリームに押し上げ、モッズムーブメントのルーツを見つめ返した1973年の『Quadrophenia』はバンドを21世紀へ送り込むことになる傑作となった。1975年の『The Who By Numbers』のように、タウンゼントのこの頃の全盛期の音楽には、幻滅と憂鬱にあおられたものが多かったが、その後1978年にムーンの急逝という悲劇が起こる。5年後にタウンゼントがバンドを解散させたものの、結局1989年に結成25周年に合わせて再結成することになり、ピートの不安をよそにショーは続いていかねばならなかった。そしてエントウィッスルは2002年のアメリカツアーが始まる前夜に亡くなったが、ダルトリーとタウンゼントはエントウィッスルの息子の励ましもあって、代役を立ててツアーを敢行した。ザ・フーが「年を取る前に死にたい」と宣言してから半世紀以上が経った2019年、バンドは激しいサウンドで老いたロックスターの運命に思いをはせるアルバム『Who』をリリースした。

出身地
London, England
結成
1964年2月
ジャンル
ロック
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