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アナログシンセのレトロな音がキャッチーなサイケデリックポップ"Fight Test"で幕を開ける通算10作目のアルバム。前作「The Soft Bulletin」での精緻に作り込んだ壮大なシンフォニックポップから一転、今回はキュートな電子音を随所に取り入れたSFタッチで人肌のバンドアンサンブルが前面に。どこか初期の現代音楽/電子音楽への憧憬やオマージュが重なる夢のあるポップアルバムといえる。客演もしているBoredoms/OOIOOのYoshimi P-Weからのインスピレーションを重ねて、2部構成のタイトル曲"Yoshimi Battles the Pink Robots, Pt.1"と"Yoshimi Battles the Pink Robots, Pt.2"を中心にメランコリックなメロディが際立つ。前作の圧倒的な構築美に比べ、本作は風通しの良い愛すべき作品である。