米津玄師
米津玄師

米津玄師

米津玄師について

「音楽がやれることというのは、さほど大きいものではない」。米津玄師は慎重に言葉を選びながら、Apple Musicに語り、こう続けた。「だからこそ自分は、聴いてくれる人に対して何らかの希望を持ってもらえるようなものを作るべきなんじゃないかなと思うようになりました」

1991年、徳島に生まれ、2009年よりボーカロイドクリエイターのハチとして音楽活動を始めた米津玄師。その物語性に富んだ楽曲は、ネットカルチャーの進化に多大な影響を与えた。2012年には米津玄師の本名名義で、アルバム『diorama』をリリース。ボーカロイドを封印して自身の声で歌い、ジャケットアートワークまで自ら手掛けたこの作品はチャート上位にランクイン。その名はネットシーンを超えて広く知られることとなる。

ボカロ時代から打ち込みを主体とした制作を行ってきたが、2013年のシングル「サンタマリア」からバンドサウンドを導入し、さらに生身の人間性が伝わる音楽を奏で始める。見る見るうちにJ-Popシーンの最前線に躍り出た彼が、最大の転機を迎えたのは2018年。死生観について歌うバラード「Lemon」が社会現象といえるロングヒットを記録。さらに、子どもユニットのFoorinに楽曲提供した「パプリカ」が国民的ヒットとなり、米津玄師は老若男女誰もが知るトップアーティストとなった。

ヒットメイカーとして一挙一動が注目される中、彼の音楽はさらなる発展を遂げる。縦横無尽なメロディを紡ぐセンスはさらに磨かれ、複雑なリズムやコード進行を駆使して驚きと感動を生み出す手法はどんどん先鋭化していった。それでいてJ-Popとしての親しみやすさを失うことはなく、その歌は子どもから大人まで幅広い層を魅了した。

そして表現者としての彼は、ヒットを重ねるごとに思慮深く、謙虚になっていくように見えた。新型コロナウイルスの脅威が人類を襲った2020年、米津玄師は時代を映し出すアルバム『STRAY SHEEP』をリリースする。「音楽がやれることは大きいものではない」という発言はこの時のものだが、その認識こそがリアルかつ誠実な歌として結実し、人々の心を打った。『STRAY SHEEP』は2020年のグローバルチャートで日本人アーティストとして最高位となる7位を記録するなど、空前のヒットを記録。彼は「今の時代に何を音楽にして残しておくべきなのかというのは自分にとって大きな課題の一つだった」とApple Musicに語るが、『STRAY SHEEP』はそれを高いレベルで成し遂げたアルバムとして歴史に刻まれることとなった。

大きくうねる時代の波の中で、いかなる音楽を生み出すか。その命題にストイックな姿勢で向き合う米津玄師の表現は、時代と共振しながら進化を遂げていく。

  • 生年月日
    1991

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