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ショパンの愛好家なら、1960年代にショパンのすべてのピアノ曲をレコーディングして高い評価を受けたピアニスト、Miłosz Magin (1929-1999) の名前を聞いてピンと来るかもしれない。一方、2015年のチャイコフスキー国際コンクールで聴衆の喝采を受けた新進ピアニストLucas Debargueは、作曲家としてのMaginの熱心な支持者だ。ロマン派の音楽語法による繊細で非常にフランス的な表現の中に(Maginはポーランドの出身だが、後半生はパリで過ごしている)バルトークの影を感じさせるMaginの楽曲との出会いは、多くのリスナーにとってもうれしい発見となるだろう。演奏も見事で、室内楽も協奏曲も、最高峰の演奏技術によって美しい輝きを放っている。そして若きDebargueが抱くMaginへの熱い思いが大ベテラン、ギドン・クレーメルのイマジネーションをかき立てたことも意義深いと言えるだろう。