Tattoo You (Deluxe Edition)

Tattoo You (Deluxe Edition)

1981年の『Tattoo You』に収録された楽曲の多くは、1973年の『Goats Head Soup』にまでさかのぼる未完成音源の寄せ集めから生まれたものだった。ストーンズの作品にしては不運な裏話だ。ツアーに出る前にジャムセッションをしておけばよかっただけだというのが、キース・リチャーズの言い分だったが、どのみち1980年代の終わりまで、彼らのバンド生活はツアーに飲み込まれてしまっていた。ジャガーとリチャーズの仲が悪かったのだという意見もあった。いずれにせよ最終的に完成したのは、見せかけでは決してない一体感に包まれたアルバムだったが、バンドがどういった活動をしていたのか、正確には誰も知る由もなかった時期の彼らの集大成であり、それを賞賛する役割を果たしたのだった。「確かレコード会社から『アルバムはどこだ?』って言われた」と、リードシンガーのミック・ジャガーはApple Musicに語る。「それで、『え、ないよ』って言うと、『だったら、この8年間に作ったものをもう一度確認したらどうだ?何かしらあるはずだ』って言われた。それでスタジオに戻って、音源をあさったんだ」「Start Me Up」は1978年の『Some Girls』のために作ったレゲエソングから生まれた曲で、「Waiting On A Friend」は伝説的ジャズプレイヤーのソニー・ロリンズによるソロがエンディングを飾る異質なカントリーバラードだが、もともとは『Goats Head Soup』のために作られたものだった。そして「Slave」は1976年の『Black and Blue』のセッション中に出来た即興のR&Bだ。大半が1980年に書かれレコーディングされたジャガーの歌詞には一貫したテーマがあった。歌詞の中で彼は、女の子に屈服し(「Start Me Up」)、隣に住む変人に文句を言い(「Neighbours」)、音楽やセックスがなくても豊かな人間関係が築けることを知った(「Waiting On A Friend」)。「トップラインも抑揚もメロディもまったくない曲がいくつもあった」と、ジャガーは言う。「それでキースと俺でそういう曲を何とかしようとしてみた。そうやってアルバム全体を仕上げていったら、俺はとても短い時間で歌詞を大量に書く羽目になったんだ。最初にジャマイカでニッキー・ホプキンスと一緒に『Start Me Up』をレコーディングした。でもそれはバンドサウンドで、リフやきれいなメロディを弾いただけだった。俺は後になって振り返って、『えっと、あの曲のテーマは何だっけ?』って考えなきゃならなかった」当時40歳になろうとしていた彼だが、中年になっても若いころと変わらず魅力的な傲慢(ごうまん)さがあった。かつてはバースとコーラスに縛られていたバンドは、曲よりもグルーヴを重視するようになっていった。そしてさらに数年経験を積むことで、かつて彼らが雑多な音楽性をものにしたのと同じように、自分流のファンクを鳴らす権利を獲得した。さまざまな変化があったにしても、『Tattoo You』という、無駄のない、自信に満ちた、後ろ向きでありながらもエネルギッシュなアルバムを作ったことで、バンドは再びザ・ローリング・ストーンズになったのだ。このデラックス・エディションには、アルバム全曲のリマスターに加え、同時期に作られた未発表曲9曲が収録されている。

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