細野晴臣と高橋幸宏という日本のポピュラー・ミュージックの巨匠2人によるユニット Sketch Show の2ndアルバム。前作 「Audio Sponge」 より緻密化したクリック音をベースに、アコースティック・ギターなどの生楽器を融合、エレクトロニカからフォークトロニカへと接近した1枚だ。盟友である坂本龍一が “MARS”、“ATTENTION TOKYO” で共作参加していることもあり、この音楽性は後の YMO 「RYDEEN 79/07」、HASYMO 「The City of Light / Tokyo Town Pages」 にも受け継がれている。何はともあれ、実験的要素を多分に含みながらも、3分間のポップス感覚で耳にすぐなじむ楽曲群がとにかく気持ち良く、細野と高橋がフォークトロニカという一時期の流行をその研ぎすまされた音楽センスにより普遍的なポップ・ソングへと昇華している様が見て取れる作品だ。TPOを問わない音楽ではあるが、北欧エレクトロニカの影響色濃いだけに、やはり冬の暖かい室内で Wunder や mum 諸作と合わせて聴きたくなる1枚かもしれない。