

伝説的ロックバンドのはっぴいえんど、テクノポップで世界を席巻したYellow Magic Orchestra(YMO)等、希代のグループで足跡を残した細野晴臣。ソロワークを中心としたサウンドに垣間見えるのは、かつてのアメリカンミュージックへの憧憬であり、それが良質なハリウッド音楽と泥臭い南部の両面にまたがっている点である。フォークやR&B、カントリー、民謡などをベースに醸成されたと思われる独自のポップセンスが、トロピカルな無国籍感覚を自在に取り込みながら、いつしか強度の高いテクノへと至ったその貴重なプロセス。そしてその後のアンビエントへの探求や、自らの歌声で名曲を表現する音楽の伝道者ともいえる活動など、時代を開き深化を続ける細野ワールド。