

YMO、サディスティック・ミカ・バンドのメンバーである高橋幸宏を中心として結成された新バンド Pupa(ピューパ)。高橋幸宏、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦、そしてメイン・ボーカルに原田知世を迎えた1stアルバムである。 Sketch Show 、 HASYMOといった近年の高橋幸宏の活動の延長にあるエレクトロニカ・サウンドを軸に、生楽器の肉体的な響きを効果的に取り入れた風通しの良いサウンドが確立。メンバーが親交を持つ Cornelius の最新作「Sensuous」を連想させる部分もあるが、何より参照すべきは Pupa 結成へのきっかけとなったとも言われている2006年リリースの高橋幸宏ソロ・アルバム「BLUE MOON BLUE」だろう。この2作品を聴き比べたときに明確に感じられる本作の開放感は"バンドとソロの違い"を何より雄弁に表しているのかもしれない。高橋の趣味フライ・フィッシングの用語で"蛹(さなぎ)"を意味するバンド名Pupaは、そうした新たな始まりを迎えたバンドのあふれんばかりの希望と同時に、成虫への変態過程の途中というはかなさも含んでいるようでその入り交じった感情は映像的なサウンドとして現れている。