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![The Beatles 1962–1966 (2023 Edition) [The Red Album]](/assets/artwork/1x1.gif)
ある意味、赤盤こと『The Beatles 1962-1966』に関して最も驚くべきことは、そのタイトルだ。彼らはこれだけの作品をわずか4年で作ったのだ。「I Want to Hold Your Hand」「Please Please Me」のようなこれほど愛らしく親しみやすいサウンドを奏でるロックバンドも、「Ticket to Ride」「Norwegian Wood」のようにこれほど謎めいていながらクールな感触を放つポップグループも、かつて存在したことがなかった。そして「Yesterday」「Girl」などに見受けられるように、古典的なポップに対する彼らの解釈は時が経つにつれて洗練を極め、それは同じく「Paperback Writer」でのR&Bやソウルの取り入れ方にも言えることだった。彼らがカルチャーを操縦したのかもしれないし、もしくはそれに適応するのが並外れてうまかっただけなのかもしれない。いずれにしても、「Love Me Do」や「She Loves You」のライトなブルースやフォークロックから、「Day Tripper」のサイケデリアや「Eleanor Rigby」のザクザクと刻むストリングスまで、ここに収録された楽曲は1960年代初期にポピュラーミュージックが遂げた幅広い進化のほぼすべてに当てはめることができるのだ。