かつて1980年代に、バッハの「無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ」の中に、宗教的暗示やルター派教会のコラールからの引用が含まれていることが示唆された。これにより、この作品は宗教的なメッセージを持つものと考えられるようになったのだ。バイオリニスト、クリストフ・ポッペンはこのアイデアにのっとり、「パルティータ第2番」の5曲の間に、関連性があると思われるバッハのコラールを交えて演奏するという、独自の構成を試みた。ポッペンと英国の声楽グループ、ザ・ヒリヤード・アンサンブルによる"新しいバッハ"は、宗教性の解釈の是非を超え、リスナーを魅了する新鮮さとピュアな美しさにあふれている。