

ジャズシーンに多大な影響を与えたコルトレーンの傑作。スピリチュアルな世界観を表現したコンセプトアルバムである本作は、前代未聞のセールスを記録し、モードを極めたコルトレーンはフリージャズへの道を進み始めた。テナー・サックスの悲しげだが澄んだ音色のイントロが耳を突き刺し、力強い旋律のピアノ、プリミティブなリズムを刻むドラム、重量あるベースが神秘的なムードをさらに極めている。曲が進むごとに聴こえる閃きや変調は高揚感を強め、張り詰めた緊張が最後まで続く。ブルースやゴスペル、ソウルを彷彿させる泥臭さは、圧倒的なコルトレーンのテクニックと混じり合い、味わうたびに深みが出るソロ演奏を際立たせる。1960年代後半のスピリチュアルジャズの入り口を開くこととなったシンボリックな名作。