

名ソングライターである椎名林檎が、自作のメロディをあえて完全に封印するという“禁じ手”に踏み切ったアルバム。デビュー15周年を記念したコラボレーションアルバム『浮き名』(2013年)の系譜を受け継ぎつつ、今回はさらに踏み込み、全曲の作曲をコラボレーション相手に委ねるという徹底したスタイルを採用している。その兆しは2023年にリリースした、ꉈꀧ꒒꒒ꁄꍈꍈꀧ꒦ꉈ ꉣꅔꎡꅔꁕꁄとの共演曲にすでに見えていた。常田大希が紡いだメロディに重なる椎名の声は、自身の色を失うどころか、シンガーとしての輪郭をいっそう鮮明に浮かび上がらせた。今作には、椎名がスーパーバイザー/音楽監督を務めたオリンピック閉会式の式典で、「君が代」のアレンジを担当した三宅純や、デビュー25周年シングル「私は猫の目」に参加したBIGYUKIら、多彩なアーティストが参加。どんな作曲家の手による楽曲でも、椎名が声を乗せた瞬間に独自の気品と刺激が立ち上がる。アルバムのカバーアートは『浮き名』に続き、宇野亞喜良が描き下ろした。