PROVOKE

PROVOKE

「言いたいことは言い尽くしました」。[Alexandros]の川上洋平(Vo/G)は、9作目のオリジナルアルバム『PROVOKE』についてApple Musicに語る。タイトルの“PROVOKE”は、挑発を意味する言葉であり、バンドにとってはこれまでもずっと大切にしてきたキーワードだったと川上は明かす。「アマチュア時代に作ったデモテープのタイトルが『Provocation to Noble Artists』、“気取ったアーティストに対する挑発”で、それを今の事務所に送ってデビューが決まった。ライブではいつも冒頭に『Burger Queen』という曲を流していて、そこにもProvocationという言葉が出てくる。そして今回のアルバムを作り終えた時、我々の姿勢はずっと変わっていないと思えたので、バンドの横にあり続けた言葉を改めてタイトルにしました」 アルバムの発表がデビュー15周年という節目の年に重なったことも、どこかで意識していたと川上は振り返る。「なんとなく今ちょうどバンド活動の中盤にいる気がしていて、そこでメンバーと話したのは、これからの後半は安定するより、もっと上を目指そうということ。だから“未来”というのが一つのキーワードでした」。未来に向けて高みを目指したその瞬間、挑むべき相手は他でもない、自分たち自身だった。そこから妥協なき制作が始まった。「アレンジはかなり時間をかけて、これまでの自分たちを塗り直していった感じです。一度完成してもすぐにパッケージせず、もっと良くなるアイデアを待って、1年くらい寝かせたこともありました。リズム面の課題も全員で克服したし、歌詞も、ここまで言いたいことを吐き倒したのは初めてじゃないかな」。セルフプロデュースで細部まで突き詰めた分、時間はかかったが、そのすべてが必要なプロセスだった。「もはやこだわりを超えて、わがままにやらせてもらいました。それだけにもう何も直すところがないです」。川上が自信を見せる本作について、ここからは本人にいくつかの楽曲を解説してもらおう。 PROVOKE 歌詞にある「TRUST YOUR ART」はずっと大事にしている、自分のモットー。“自分の作っているものを信頼しろ”ということ。単語を読み上げてくれたのは、AIとレコード会社の社員さんです。 JULIUS この3年間、いろんな場所で曲作りをしました。東京のスタジオは使える時間に限りがあるから、代わりに事務所の会議室を使おうと思いつき、小さいアンプを持ち込んで3、4曲作りました。そのうちの一つがこの曲で、できた時に「アルバムの雰囲気が見えたな」という感じがありました。 WITH ALL DUE RESPECT 言葉をたたみかけていく、まさに[Alexandros]節の楽曲。俺がアンプも通さずに適当に弾いた“デーンデーンデラララ”っていう変なリフをずっとループさせて作りました。歌は自分の得意分野である、ラップのような言葉のまくしたてを出たとこ勝負でやったら、お経みたいなのが出てきた。混沌(こんとん)とした感じを出すために、「Ta ta ta 絶え間ない」からのバースは、違う単語を歌ったデモの音を重ね、意図的に聴き取りにくくしました。 EVERYBODY KNOWS オアシスが歌った「Live Forever」という言葉がすごく好き。そんな自分もやっぱりいつか死ぬし、すべての物事は終わっていくと、どこかで分かってる。その上で、どこまで信じ切れるか。信じて信じて、演じ切ってやろうよ、「Until it becomes real」(それが現実になるまで)と歌ってます。アンビエントな雰囲気のアレンジにしたけど、歌うとどうしてもコブシが出て哀愁が漂う。でもそれはむしろいいじゃん、俺の中の拭い去れないジャパニーズ魂は絶対生かそうと思っていました。 Boy Fearless 自分の家の地下にスタジオを作り、ボーカルレコーディングは全部そこでやりました。この曲はまだリフォーム前に録ったので、工事現場みたいな雰囲気で、むしろそれがよかった。だだっ広い場所にテーブルとパソコン、マイクを置いて、エンジニアさんと2人きりで「I don't know how long it's gonna take」(どれくらい時間がかかるか分からない)とか言いながら(笑)。これまでボーカルはなんとなく一発録りがカッコいいと思っていたけど、AメロとBメロに違うペルソナがいるような雰囲気を出すために、分けて録る方法も試した。自分のスタジオだからどこまでもこだわれます。 [0602] 家でギターを適当に弾いた時の音。ボイスメモを回して録ってました。普段のデモ制作も、ボイスメモにボイスパーカッションでドラムやベースを入れて作ります。ベースもできるの、すごくないですか(笑)? 自分のイメージをバンドメンバーやエンジニアさんに伝えるには、このデモがすごく役に立つ。打ち込みに頼らず、すごくオーガニックな作り方をしてます。 VANILLA SKY 2 (feat. WurtS) 鼻の湾曲症を治すために手術をして、その1か月後くらいにレコーディングした。だからまだちゃんと治ってなくて鼻声なんです。これはこれで思い出になるし楽しもうと思って、鼻声をさらに強調させてマットな感じにしたら、WurtSの声質とうまく合いました。 アフタースクール 俺とリアド(偉武/Dr)が会議室で作った曲。フィービー・ブリジャーズのライブに行った後、男の子には出せないあの青春感っていいなと思いながらやってみた。俺たちだとどうしても哀愁というか男の感じが出ちゃうけど、それはそれで良しとしました。最後の曲を何にするかすごく迷ったけど、ここからまた何か始まる感じにしたくて、この曲を選びました。