

The Golden Ring: Great Scenes from Wagner's Der Ring des Nibelungen
19世紀のオペラ界に革命をもたらしたワーグナーの『ニーベルングの指環』は、古代の伝説や神話に着想を得ながら新たな物語を作り上げ、それをかつてない美しさと力強さを持つ音楽に乗せて表現した四つのオペラからなる壮大な作品だ。1876年に全曲初演されたこのオペラは、1958年から1965年に至る足かけ8年をかけて初めて全曲録音された。その音源はレコーディングされた音楽に対する既成概念を覆すほど衝撃的なものであり、現在に至るまですべてのワーグナー作品の録音に関する絶対的な基準となっている。
最高峰のワーグナー歌手たちと、若きゲオルク・ショルティが指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を捉えたこの『ニーベルングの指環』は、オペラのレコーディングとして史上最も野心的なものであり、Deccaのプロデューサー、ジョン・カルショーは、当時最新だったステレオ技術を駆使して、劇場公演を生で聴くのに匹敵するほどの魅惑的なリスニング体験を実現した。
そして本作は、その歴史的録音をリマスタリングしたものであり、ここには四つのオペラから「Ride of the Valkyries(ワルキューレの騎行)」や「Trauermarsch(ジークフリートの葬送行進曲)」をはじめとするハイライトが収録されている。ワーグナー作品の録音史における金字塔であるこの膨大な音源への入り口として、最適なアルバムだといえるだろう。