Encores

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神童と呼ばれたダニエル・バレンボイムがキャリアをスタートしたのは1950年。本作は彼の生誕80年を記念して自身がセレクトしたお気に入りのアンコール曲を録音したものだ。ベルリンの音楽学校バレンボイム・サイード・アカデミーのコンサートホール、ピエール・ブーレーズ・ザールの澄んだ響きを生かしたレコーディングは、バレンボイムならではの色彩豊かなピアニズムを余すところなく伝えてくれる。シューベルトの『4 Impromptus, Op. 90, D. 899(4つの即興曲 Op. 90, D. 899)』の第3番からは詩情の本質が感じられ、シューマンの「Traumerei(トロイメライ)」やドビュッシーの「Clair de lune(月の光)」では“レス・イズ・モア”、つまり“少ないことはより豊か”という言葉の意味を体現しているかのよう。シューマンの『Fantasiestucke(幻想小曲集)』はどこまでも美しく、ショパンのエチュードではバレンボイムのきらめくようなテクニックがリスナーをうっとりさせる。そしてアルベニスの「Tango(タンゴ)」はこのチャーミングなお祝いを締めくくるにふさわしい幸福感にあふれている。