

シンガーソングライターである矢野顕子がヴォーカリストに徹するという、異例のアプローチが取られた1985年のアルバム。ベースとなったのは、ドビュッシーやラヴェル、ストラヴィンスキーらによるクラシックの歌曲を、現代音楽のピアニストである高橋悠治の伴奏で矢野が歌った自主制作盤。そこに坂本龍一がピアノで参加した楽曲など、6曲を追加してアルバム化された。日本語のタイトルが付く4曲は高橋悠治の作曲で、"ゆめのよる"と"はこ"は詩人の谷川俊太郎、"小まどから"と"リンゴ"は12歳で世を去った岡真史による詩が添えられている。それらに対峙する矢野の歌唱は鮮烈そのもの。改めてヴォーカリストとしての表現力に驚かされ、引き込まれる。