

インパクトのあるサウンドが主流になっていった1980年代、後藤次利が紡ぎ出す音楽はそうした動きをけん引するほど大きな存在感を放った。当初はベーシストとして数多くの現場を経験していた彼だが、1970年代中盤からアレンジャーとしてのキャリアを踏み出すと、ドラマチックで重厚な音作りにより、中島みゆきをはじめとしたアーティストたちから引っ張りだこになる。その後は作曲家としての才能も発揮するようになり、特に秋元康に関連するアイドル歌謡の仕事ではシーンの一時代を築き上げるほどの活躍ぶりでクリエイターとしてのポジションを確立した。愛らしいアイドルから濃密な世界観を持つアーティストまで、その手腕は幅広い方面から大きな信頼を得ている。