

「もの」をつくるというのは、考えれば考えるほど変な行為だ。人はなぜ、何のために「もの」をつくるのだろう。消費のためだけの「ものづくり=製造業」が臨界に達し、「そんなにもう『もの』はいらないよ」、とみんなが思い始めているこの時代。「売る/買う」だけの関係性から、「もの」をいったん解放し、人とものの関係をもう一度よく見つめ直す必要があるにちがいない。そんな思いからつくった『WIRED』プリント版最新号VOL.28(2017年6月8日発売 )・特集「ものづくりの未来」のサウンドトラックは、特集最後に登場いただいた坂本龍一さんの最新作『async』を導きとして、「ものの響き Sound of Things」を聴き、人とものの関係を考えるプレイリストとなった。坂本さんは本誌内で語る。「そもそも、ピアノって『もの』の音がしないんです。ピアノって『ピアノ』の音がしちゃうわけですね。ぼくに言わせれば、それってとてもかわいそうなことなので(笑)、内部奏法によって、かわいそうなピアノも、ちゃんと『もの』の音がするよって、ちゃんと鳴らしてあげたいんです。そういう気持ちでやっているんです」〈2017.06.05〉 | http://wired.jp/magazine/vol_28/