

1895年ドイツ、ブランデンブルク州生まれ。2つの大戦のあった時代にピアニストとして活動し、その波乱の時代にドイツ音楽の伝統を守り続けた演奏家。モーツァルトからベートーヴェン、シューマン、ブラームスまで、それらの作曲家の演奏に関して、ケンプは傑出していた。ピアノソロだけでなく室内楽のジャンルでも巨匠たちと共演を重ねた。録音の多くは第ニ次大戦後のものだが、年齢を重ねて、次第に円熟味を増している演奏は滋味あふれるものである。またケンプは作曲家として活動していたという一面も持っていた。1991年にイタリアで亡くなったが、その数年前に現役を引退していた。