

シェク・カネー=メイソンはすでに10代の頃から、単に高いテクニックを備えているというレベルを超え、十分に洗練された魅力あふれるパフォーマンスでオーディエンスを引き付けていた。ロンドンの王立音楽アカデミーで学んだカネー=メイソンは、2016年に黒人音楽家として初めてBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーに輝いた。サイモン・ラトルが指揮するロンドン交響楽団と共演したエルガーやフォーレの作品では、深い哀感を見事に表現した豊かな音色を聴かせ、ロシアの大作曲家ショスタコーヴィチの楽曲では、えもいわれぬメランコリーを描き出している。またクラシック以外の楽曲でも優れた演奏を聴かせるカネー=メイソンは、偉大なレゲエアーティスト、ボブ・マーリーのメロディに含まれる、まるでバッハの曲にあるような普遍性に光を当てるという多才さでも、リスナーに強い印象を与えている。