

カロル・シマノフスキの音楽は、間違いなく初期モダニズムを代表するものの一つだ。シマノフスキは1882年、芸術を愛するポーランド貴族の家に生まれた。幼いころから才能を発揮した彼はワルシャワで本格的な音楽教育を受け、作曲家としてのキャリアをスタートさせる。初期にはショパンや、リヒャルト・シュトラウス、アレクサンドル・スクリャービンなどの後期ロマン派の作曲家に影響を受けた作品を書いていたが、30代に入ると、後期ロマン派の音楽語法とフランス印象主義のスタイルを融合させ、全く異なる2つの世界を見事に統合させた独自の音楽を創出する。さらに30代の後半から祖国の民謡に興味を持つようになっていったシマノフスキは、親交のあったストラヴィンスキーのロシア民謡を題材にした楽曲に刺激されたこともあり、ポーランド南部タトラ山地独特の民謡を熱心に研究し、そのエッセンスを生かした作品制作を行った。