

17世紀のパーセル以降、クラシック作曲家の不毛が約200年間も続いていたイギリス音楽界に彗星のように現れたエドワード・エルガー。教会のオルガニストを父に持ち、法律を学んだ彼は、専門教育を受けずに独学で音楽を修めた。1899年に結婚と同時にロンドンに移住。このとき、妻への婚約記念に贈ったピアノ小品 "愛の挨拶" は、バイオリン版などの編曲も多数存在する傑作の一つ。その後も「エニグマ変奏曲」や「チェロ協奏曲」などを発表。中でも、全5曲からなる「威風堂々」の第1番は、第2のイギリス国歌にもなった。イギリス音楽の伝統にドイツ的気質を織り込んだ、イギリス版ブラームスのような作風が魅力。