TLC

1990年代初頭、TLCはラップとネオR&Bの間にある、それまで定義されていなかったサウンドを開拓することで革命の先頭に立った。T-ボズ（ティオンヌ・ワトキンス）、レフト・アイ（リサ・ロペス）、チリ（ロゾンダ・トーマス）の3人で結成されたアトランタ出身のTLCは、L.A. ReidのLaFace Recordsと契約を交わし、その存在は後にDestiny's Childやアシャンティを含む新世代のスターたちのために道を開くこととなる。「What About Your Friends」のような初期のヒット曲では、ニュージャックスウィングを1990年代のラップ世代のためにアップデートしたサウンドを聴かせ、カラフルなおそろいの衣装に負けない振り付けされたダンスを披露した。「Creep」「Waterfalls」「No Scrubs」のような何度でも繰り返し楽しめる大ヒット曲の数々は、映画やラジオで幾度となく流され、「Creep」「Waterfalls」が収録された1994年のアルバム『CrazySexyCool』は、12回にわたってプラチナ認定された。アルバムにはパフ・ダディやジャーメイン・デュプリといったプロデューサーが起用され、ラップから歌へとスムーズに流れる心地よいビートが生み出された。2002年、レフト・アイが悲劇的な自動車事故に命を奪われ、その年にリリースされたのが3人組としての最後の作品となってしまったが、TLCは2010年代を通じて最も売れた女性グループの一つであり続けた。結局、T-ボズとチリが2017年に新作をリリースするまでには15年の歳月を要した。そのセルフタイトルの復帰作『TLC』は、最初にグループが成功したスタイルをノスタルジックかつバラ色に振り返ったものだった。そして、ステージでは2人がレフト・アイの録音された声と共にライブパフォーマンスを披露し、ファンにもう少しだけTLCを見せてくれたのだった。