Jack Harlow

「俺は今でも偉人の一人になりたいと思っている」。ラッパーのJack Harlowは、作品に対する姿勢についてApple Musicにこう語る。「これに関しては絶対にかなえたいんだ。俺には大成する資質があると思う。ラップというアートをこれだけ愛しているんだから」。1998年にケンタッキー州で生まれたHarlowは、その夢を現実にする道筋を着実に歩んでいる。 ルイビルのハイランズ地区で育った彼は12歳の時に作曲とラップを始め、高校卒業前の2015年末には軽快なファーストEPを発表した。本格的なミックステープ『18』を2016年にリリースしてからは、Apple Musicに語った本人の言葉を借りれば「一度聴いたらやめられない、万人受けする」チルなパーティーラップとポップなビートを次々と繰り出した。「耳に心地いい音楽だよ」と彼は言う。そして2017年の『Gazebo』では、より成熟したサウンドを確立。強烈な「Dark Knight」では故郷の街を物憂げに疾走し、悔恨に満ちた「Wasted Youth」ではシンセサイザーのサウンドで夢心地な雰囲気を演出した。これこそが、2010年後半の数々のミックステープで磨き上げられたヴァイブスだ。彼が移住したアトランタから生まれたトラップの要素を開拓しながらも、本人いわく、のんびりと流れるようなルイビルの雰囲気を維持している。2020年にリリースしたパンチの効いた『Sweet Action』では、その随所に表れているように、Jack Harlowは最終目的地である“頂点”へとさらに一歩近づいた。