根っからの表現者であり、そのためには自分をどこまでもストイックに追い込むアーティスト、GACKT。彼はさまざまなところでデビュー前の逸話や実業家としての思考も語っていて、そこで人間くさい横顔をのぞかせることもある。それでも彼自身が表現しようとする世界観への強烈なこだわりや、エンターテインメントを極めようとする確固たる姿勢については異論はないだろう。MALICE MIZERでのバンド活動を経て、1999年にソロデビュー。彼の情熱が顕著に現れるのはステージだ。豪華なセットや耽美な演出で行われるライブの会場で、GACKTは集まったファンを満足させることに全身全霊を注ぐ。だからコンサートに行く人はそこで思いきり笑ったり、あるいは泣いたりと、心を踊らせながら目いっぱい楽しむことができる。また、彼自身が原作、脚本、演出、そして主演する舞台や、オーケストラを従えたクラシックライブを実施したこともあったりと、とにかくライブに対する意識は高い。さらにGACKTは国外にも活動の場を広げており、アジアやヨーロッパでは大規模なコンサートを開催。温かなバラード「12月のLove song」（2001年）は日本語の他に英語、中国語、韓国語でも発表されている。さらに、2006年の春から全国の中学校や高校でサプライズの卒業式ライブを行っており、そこでは旅立ちの歌である「野に咲く花のように」（2007年）を披露している。GACKTは著書でこう表明している。タレント業も含めて、いろいろなことをするのは「自分の好きな音楽とステージをやり続けるため」だと。そして自分の武器は「人生をマネタイズすること」だと。こうした人間的な強さは、その音楽にも表れている。