Eveは、陰影のある心象風景をファンタジックな物語として奏でる。2009年から歌い手としての動画投稿を始めたEve。2015年のセカンドアルバム『Round Robin』から自身で作詞作曲を手掛けはじめ、ボカロPとしても活動する。初めて全曲の作詞作曲を手掛けた4作目のアルバム『文化』（2017年）は、エモーショナルなギターロックで自分の内面をさらけ出した作品で、次世代を担うシンガーソングライターとして注目を浴びた。2019年にメジャーデビューすると、アニメ作品のテーマソングなどを手掛けるようになり、その表現世界は急速に拡大していく。原作を深く読み解き、作品のテーマを自身の音楽性と見事に融和させた「闇夜」（2019年）や「廻廻奇譚」（2020年）のヒットにより、Eveの名は広く知れ渡っていった。Eveが表現する世界観には、MahやWabokuら映像クリエイターとのコラボレーションによるビジュアルも大きな役割を果たしている。ライブでは空想と現実の境目にいるような幻想的な映像や演出の仕掛けが施され、五感を通してその世界に没入できる。Eveの音楽を味わうということは、彼の脳内に広がる物語世界に入り込むということ。そして、その世界は無限に広がり続けている。