50セント

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50セントについて

2003年、ヒップホップは過渡期にあった。やけに艶っぽいうわべだけのものになってしまっていたヒップホップに対抗できる者が必要とされていた。そこに現れたのが、50セントことCurtis Jacksonだ。1980年代から1990年代のヒップホップを築いたアイコンたちはすでに新しい世界に進んだか、ノトーリアス・B.I.G.や2Pacのように他界していた。このクイーンズ生まれのラッパーは、ヒップホップシーンにおける最新の悪役として登場したのだった。恐れ知らずでバトルへの準備万端のこのMCは、型破りな方法で足跡を残すことを望んだ。その良い例が、彼のファーストシングル「How to Rob (feat. The Madd Rapper)」だ。有名R&Bシンガー、大物ラッパー、ハリウッドの大スターたちの座を略奪することを夢見るという内容の物議を醸す曲だった。もう誰も安全ではなかった。彼は、キャリアを通して威張った態度を取り続けたが、そうした振る舞いがいつも彼の利益になるわけではなかった。2000年、50セントは駐車した車の中で9発の銃弾を受ける。その年にリリースを予定されていたアルバム『Power of The Dollar』は、この事件を受けて棚上げにされた。そして傷が癒えると、彼は音楽を作り、失敗した契約から立ち直ることを誓った。そして、プロデューサーのTrackmastersやトゥルー・マスター、 ノッツのビートをフィーチャーしたコンピレーションアルバム『Guess Who’s Back?』を発表する。それがエミネムの目に留まり、50セントはエミネムのShady Recordsと契約を結んだ。その1年後の2003年、インタースコープとドクター・ドレーのレーベルAftermath Entertainmentとの共同契約を通して、『Get Rich or Die Tryin’』をリリース。「Wanksta」「In da Club」「P.I.M.P.」といったシングルでの彼のゆるく生意気なフロウは、シーンに衝撃を与え、50セントをスターにした。彼は競争心の強いキャラクターを生かしてテレビ番組『POWER/パワー』をプロデュースし、2020年に6シーズンで終了するまで驚異的な成功を収めた。現代を生きるための優れたスキルとビジネスの才覚を持つ50セントは、確かに悪役としてキャリアを開始したかもしれない。だが、彼はヒーローになったのだ。

出身地
Queens, NY, United States
生年月日
1975年7月6日
ジャンル
ヒップホップ/ラップ

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