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フランスの俊英チェリストChristian-Pierre La Marca(以下C.-P. L. M.)が、Julien Chauvin率いる古楽器アンサンブルLe Concert de la Logeと共に、イタリアのバロック音楽からオーストリアの古典派音楽へと受け継がれ発展していったチェロの“レガシー”にスポットライトを当てる。イタリア出身のNicola Porporaはバロック後期のオペラ作曲家であり、C.-P. L. M.によれば彼のチェロの書法は声楽的なものであるという。ハイドンはこのPorporaの下で学び、エステルハージ家の楽団を指揮してオペラをはじめとする多くのイタリア音楽を奏で、自身の作品の中でチェロの楽器としての表現を新たな高みへと押し上げていった。モーツァルトがそのハイドンに大きな影響を受けたことは言うに及ばない。グルックもイタリアでの活動を通じて多くのものを吸収し、晩年には移り住んだパリへウィーン古典主義を持ち込んだ。本作ではこれらの4人の作曲家たちの楽曲をC.-P. L. M.による優雅で表現力あふれる演奏とLe Concert de la Logeの輝きに満ちたサウンドで楽しめると同時に、バロックから古典派の時代におけるチェロ曲の進化の興味深い歴史を垣間見ることができる。