

エイプリルフールのベーシストとしてメジャーデビューを果たし、その後もはっぴいえんど、ティン・パン・アレー、YELLOW MAGIC ORCHESTRA、ソロと充実したキャリアを積み上げてきた細野晴臣が活動50周年の節目にリリースした「HOCHONO HOUSE」は、日本のポップ音楽史にさんぜんと輝く名盤として名高いファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」(1973年)のリメイクというたまらない作品。「HOSONO HOUSE」神話を笑い飛ばすようなタイトルや反転させた曲順、さらに歌や演奏はもちろん、アレンジやプログラミング、エンジニアリングも自身で手掛けたことからも彼の洒脱と不敵がうかがえる。ローファイな"相合傘(Broken Radio Version)"のオープニングから驚かされるが、その後もエレクトロファンクにテクノ、ニューエイジなど、さまざまな意匠で楽曲を包んで自身のキャリアを更新しつつ、時空を超えて音楽そのものの魔界へと足を踏み入れていくような、普遍と冒険の傑作に仕上がっている。