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ベルリンを分断する壁のそばに建つハンザスタジオで全曲が録音された、ベルリン3部作の中核をなすアルバム。脱ロック的なインストゥルメンタル曲を後半に並べた構成、バックミュージシャンの顔ぶれやブライアン・イーノとのコラボなど、前作「Low」との共通点も多い。のちに彼の代表作となった表題曲では、クライマックスに向かって独特の高揚感を演出するイーノのシンセサイザーとロバート・フリップのギターがすばらしい効果を上げている。日本の琴を使ったアンビエント風の"Moss Garden"、オーネット・コールマンを思わせるボウイのサックスが印象的なエレジー"Neuköln"、そしてラストの"The Secret Life of Arabia"から垣間見える、非西欧文化圏のサウンドをモチーフにした手法は次作「Lodger」へと引き継がれていく。