Four Hands

Four Hands

「ピアノ連弾は人生における奇跡の一つです」とピアニストのアレクサンドル・タローは語る。「何よりもまず、室内楽の演奏形態の中で最も親密なものなのです」。『Four Hands』というタイトルが示す通り、タローが本作に収録したのは、すべて元々4手のために書かれた楽曲か4手のために編曲された作品だ。そして、このアルバム最大の特長は、彼と連弾する演奏家たちの豪華さだろう。タローは22の収録曲それぞれに異なる共演者を招いている。その中には、ヴィキングル・オラフソン、アレクサンドル・メルニコフ、ベアトリーチェ・ラナ、ブルース・リウ、児玉桃といった当代の名ピアニストたちの名前が並び、さらには、チェリストのゴーティエ・カピュソンやカウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーなど、普段はピアニストとして活動していないスター演奏家たちもタローとのピアノ連弾を披露している。楽曲もバッハからフィリップ・グラスまで、また、おなじみの曲からそうでないものまで、実に幅広い。タローは、曲によってプリモ(高音部を担当)となったりセコンド(低音部を担当)となったりしながら、ゲストとの共演を楽しんでいる。ベルトラン・シャマユと奏でるラヴェル作曲『マ・メール・ロワ』の「Le jardin féérique」では、2人の繊細なタッチがメロディとハーモニーの美しさを最大限に引き出し、ヴィキングル・オラフソンとのグリーグではリズミカルな演奏の中で音色の透明感が際立つ。そして、フィリップ・ジャルスキーとのピエルネは、軽やかな歌心にあふれている。