1980年代の初頭、人懐っこいリーダーのジョン・ボン・ジョヴィは自らニューヨークのロック専門局を訪れ、バンドを乗り込んだ。それがすべての始まりで「Wanted Dead or Alive」や「Keep the Faith」といった、リスナーが一緒に熱唱したくなるアンセムが生まれた。それ以来、ボン・ジョヴィのキャリアは、この楽観主義によって定義されてきた。16作目のアルバム『Forever』でも、ニュージャージー州を代表するバンドの見通しは依然として明るい。『Forever』は彼らの40周年を記念する作品だが、本人たちも自分たち自身を祝福している。「ここ10年は、いろんな意味で喜びを見いだすのが難しかった。今作には多くの喜びが詰まっている」とジョン・ボン・ジョヴィはApple MusicのZane Loweに語る。長年にわたってギタリストを務めたリッチー・サンボラの脱退や、パンデミック、さらにはリードシンガーであるジョンが実験的手術を受けるに至った声帯の不調など、私的かつ世界的な課題が彼らに重くのしかかった。「そのせいで修行のような10年だった。試練と苦難の連続だった。偉そうなことは言いたくないが、俺に20年目以降のキャリアについて話してみたらいい。40年に達すると、この話題について本当の意味で話し始めることができるから」。『Forever』は、そういった問題を大声で誇りを持って脱ぎ捨てる作品であり、MTV時代を代表するロックバンドとしての彼らのレガシーに敬意を表し、それを磨き上げる12曲が収録されている。 オープニングを飾る「Legendary」は、バンドに覆いかぶさっていた疑念を祝福する理由へと変えて、昔の曲や古い友人たち、そして、生きているという行為の中に、「空に向かって手を上げる(raise my hands up to the sky)」理由を見いだしている。「Living Proof」は、その轟音と不屈の精神が、トークボックスを活用した「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」のような昔のボン・ジョヴィの曲を想起させる。少しハスキーだが紛れもないジョン・ボン・ジョヴィの声で、「俺のような罪人に、まだ何か残されているものはあるだろうか(Is there anything left for a sinner like me?)」と疑問を投げかけ、その答えがすぐそばにあることに気付く。アルバムのタイトルからして適切なのかもしれないが、『Forever』でボン・ジョヴィは少しメタ認知を働かせていて、自分たちの個人的かつ集団的な旅を振り返っている。「We Made It Look Easy」は、バンドが「夜明けを追いかけ(chasing the dawn)/曲に夢中(Getting lost in a song)」だった日々を思い出させる、力を与えてくれるようなアンセムで、「I Wrote You A Song」は、アリーナの観客がライターやスマートフォンのライトを掲げそうな、ゆっくりと花開くバラードだ。 きらびやかなパワーポップトラック「My First Guitar」は、ジョン・ボン・ジョヴィが最初に手にしたギターへの賛歌だ。彼が何年も前にそのギターを売ったニュージャージー州の住民から、段ボールのケースに入ったままの状態のギターを取り戻したという逸話にインスピレーションを得ている。「俺の気持ちを知っているのは彼女だけ(She's the only one who knows the way I feel)」と歌うそのロマンティシズムは、40年以上にわたる名高いキャリアを経た今でも、ボン・ジョヴィとメンバーが音楽に対していかに情熱を持っているかを浮き彫りにしている。「光にたどり着くために、暗い時期を経験したい人なんていない」と彼はApple Musicに語る。「でも、光に到達すると、さらなる喜びにあふれているんだ」
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