サン=サーンス:動物の謝肉祭 他

サン=サーンス:動物の謝肉祭 他

この才能あふれる音楽一家がリスナーを喜ばせるために奏でる作品として、飛び抜けた楽しさと高い演奏技術の見せどころを併せ持つサン=サーンスの名作『動物の謝肉祭』をおいて他にないだろう。この組曲でのザ・カネー=メイソン ファミリーは、ピアノのイサタ、コンヤ、ジェネバ、バイオリンのブライマー、そしてチェロのシェクという兄弟姉妹にクラリネット奏者のMark Simpsonと打楽器奏者のAdrian Spillettという俊英演奏家を加えたメンバーで編成されている。全体を通じてはつらつとしながらも深い理解力を感じさせる見事な演奏が繰り広げられるのだが、このアルバムの魅力は音楽だけではない。児童作家のマイケル・モルパーゴは、1949年に詩人のオグデン・ナッシュがサン=サーンスの寸描に沿って書いた有名な詞をなぞるのではなく、彼ならではの独創的な台本を用意した。モルパーゴの言葉は、彼自身が読む場面でも、名女優オリビア・コールマンが語るパートでも魅力的に響いてくる。もしこの『動物の謝肉祭』に飽き足らなくてもアルバムはまだまだ続く。モルパーゴによる環境保護に関する物語『Grandpa Christmas』が、さらにメンバーを加えたザ・カネー=メイソン ファミリーが奏でる数々の名曲(超絶技巧を要するリムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」、バルトークによるチャーミングな民謡の編曲、エリック・ウィテカーの美しい「The Seal Lullaby」など)をはさみ込みながら朗読されていくのだ。ラストではボブ・マーリーの名曲「Redemption Song」の編曲版が力強く奏でられる。最初から最後まで申し分なく魅力的なアルバムだ。

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