“仲間内の音楽”との異名をとるチェンバーミュージックは、もともと小さな部屋で演奏するために作曲されたもの。それが“室内楽”という呼び名のゆえんだ。近年ではそのような小編成のグループのために書かれた音楽は部屋から飛び出して、アートギャラリーから立体駐車場までさまざまな場所で演奏され、ストリートでバスキングをする弦楽四重奏団の姿も見受けられる。さらには現代音楽の作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンの勇気あるフォロワーたちが、ヘリコプターの中でパフォーマンスを行うこともある。そんな室内楽の中核をなすのは弦楽四重奏曲だ。古典派時代のハイドン、モーツァルトからベートーヴェン、シューベルト、20世紀のバルトーク、ショスタコーヴィチといった偉大な作曲家たちはこの様式での表現に最大の情熱を注ぎ、弦楽四重奏を輝かしい高みへと引き上げていった。もちろん他にも、さまざまな楽器の組み合わせからなる二重奏、三重奏、五重奏、六重奏など、室内楽のジャンルには魅力的なアンサンブルがあふれている。