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黒夢のキャリア初となったライブ・アルバム「1997 10.31 Live At 新宿 Loft」は、その名の通り、1997年に日本を代表する老舗ライブ・ハウス “新宿LOFT” での演奏を収録した作品で、黒夢がロック・バンドとして剥き出しのサウンドを武器とし始めた転換期の記録とも言える1枚だ。オリジナルとは別物と言ってもいいほどBPMが高速化した “FAKE STAR” から最後の “LIKE A ANGEL” まで息つく暇を与えない全14曲からは、彼らが当時どのように日本の音楽シーンに風穴を開けようとしていたのかが痛いほど分かるはずだ。さらに、この録音からも伝わってくるが、年間100本を越える過酷なツアーの追加公演として敢行されたこの日のライブは、ボーカル清春の声が枯れてしまうというまさに満身創痍な状態で行われていた。しかし、彼らは準備万端な状態で録音されたウェルメイドなライブ盤ではなく、あえてこの音源をリリースした。そのことが何よりも当時の黒夢のテンションを伝えてくれる、真のライブ盤とも言えるだろう。