Wataru

Wataru

「少しずつ時がたって、アルバムを何作も出していくと、アーティストとしてのレベルもちょっとずつ勝手に上がっていく。でもその先で、さらにどうやってレベルを上げるべきなんだろうと考えた」。前作『Jungle 2』から1年4か月ぶりとなる4作目のアルバム『Wataru』について、¥ellow BucksはApple Musicに語る。「人間としての、自分自身のレベルを上げないと¥ellow Bucksも上がらないのかなって。今までは¥ellow Bucksのまま過ごしてきたけど、本当の自分自身と向き合おうと思ったのは大きな変化だったかもしれない」 その大きな変化は、自身の本名を冠したタイトルからも明らかだ。「今回のアルバムは日本のカルチャーを大事にして作りました。タイトルを付ける上で一番決定的だったのは、最後の曲『Moshimo』に入れたばあちゃんのボイスメッセージで、“Wataru”って呼ばれるところ。令和の“和”と書いて“Wataru”。2025年もアジアでライブさせてもらって、日本というものを背負ったままいけたらいいなって思ってるし、“和”の要素や、海を渡っていくという意味を重ねながら、気付いたらこのタイトルになっていました」。「Kabukimono」「Katana」「Tokojouzu」など、ビートやリリックに和の要素をちりばめた楽曲を通じて日本のルーツを示しつつ、ファボラスやYGといったUSのトップアーティストとのコラボレーションも実現した本作。境界線を越える覚悟を決めた彼に、ここからいくつかの楽曲を解説してもらおう。 Who I Am もらった名前がすべてだと思うので、やっぱり一番大事なところかなということで作りました。ビートが強くて、これ聴いたらもうラップしなくても分かるでしょうってことを伝えられたらなと思って、あえてラップしませんでした。 Kabukimono 傾奇者(かぶきもの)は外れ者、アウトサイダーみたいな存在。江戸時代の傾奇者と今のラッパーって、流行を作るとか、いろいろ似ているところもあるなと思って、そのニュアンスを曲に落とし込みました。 456 (feat. YG) 東京にあるジュエリーショップのオーナーの方と付き合いがあって、その人がSNSに「YGが日本に来るかも。何かやりたい、仕事をしたい人はいる?」と投稿しているのをたまたま見かけてDMしたのがコラボレーションのきっかけ。ファイルのやり取りではなく、直接会って共作できたのがうれしかった。“456”というのはチンチロ(三つのサイコロを使った日本の伝統的なギャンブル)の出目のこと。「来た!」って感じがするYGのバースにも「4-5-6」が入っていて、バチンってやられた感じがします。マジカッコいい。 Passport 地元や国を背負って、総理大臣より仕事をするぜという覚悟を歌ったら総理が変わっちゃった。今の総理はオーバーワークぐらいするぞっていう人で、全然話が違うやんってなったけど、俺はその総理も超えていきます(笑)。働いて働いて、もっと動いていきたい。 Where I'm From (feat. Fabolous) USのラッパーたちと初めて共作したこのアルバムで、YGより前、最初にコラボレーションしたのが、ファボラスとやったこの曲です。 Moshimo 普段はあまり考えないけど、“もし自分が有名じゃなかったらどうなったんだろう?”と考えながら、アーティストのみんなに向けて書きました。ただどれだけ想像しても、その仮定自体、意味がないというか、そうならないんだろうなって。最終的に最後のフックで結論を出しているんですけど、それが答えなのかなって思いました。