

ジム・オルークをプロデュースに迎えたロック的アプローチの前作『図鑑』から一転して、シーケンサーによる4つ打ちのリズム、電子音の大胆な導入など、目に見えてバンドの裾野の広さを提示してみせたのが、彼らのサードアルバムにあたる本作。突然のサンプリング風トラックにスクラッチ、そしてラップまでも披露した「TEAM ROCK」に始まり、その後の彼らの代表曲ともなる、性急なイーヴンキックに多幸感あふれるうわものでリスナーを驚かせた 「ワンダーフォーゲル」、岸田個人が敬愛するドラゴンクエストをモチーフにしたとの「LV30」 、エレクトロなうねるシンセベースが新境地な 「C’mon C’mon」、ピアノの弾き語りでしっとりと聴かせる「カレーの歌」、人力テクノな味わいもあるミニマルコールドファンク「永遠」、エモーショナルなロックンロール「トレイン・ロック・フェスティバル」、プロコル・ハルム的荘厳さをただよわす「迷路ゲーム」、バンジョーの響きも軽やかな「リバー」など多彩なアンサンブルと方法論の遍在は、バンドの汲めども尽きぬ創作欲を証明するに余りある。そしてスーパーカーのフルカワミキを迎え彼らの代表作ともなった「ばらの花」に描かれた風景の見晴らしの良さこそが、この3作目のアルバムを特徴づける要素ではないだろうか。