D o n’ t ‌ ‌ ‌L a u g h ‌ ‌ ‌I t ‌ ‌ ‌O f f

D o n’ t ‌ ‌ ‌L a u g h ‌ ‌ ‌I t ‌ ‌ ‌O f f

「曲の主人公たちがみんな、めっちゃ生きてる感じがする」。羊文学の塩塚モエカ(Vo/G)は5作目となるフルアルバム『D o n’ t L a u g h I t O f f』についてApple Musicに語る。日本のみならず海外の人気も高まり、2025年は世界中でライブを行った羊文学。その間に数々のタイアップ楽曲の制作や、プライベートでは引っ越しなど生活の変化もあり、とにかく忙しい日々を過ごしていたと塩塚は振り返る。目の前の現実に一つ一つ取り組んだ日々は、おのずと生きる実感のこもった楽曲につながっていった。そしてふと自身を省みた時、“笑ってごまかさないで”を意味するタイトルを思いついたという。「私は本気で生きてるけど、ちゃんと伝えたい大事なことを、相手の目を見て言う時にすごく照れちゃうタイプ。でもそうやって人と接しているうちに、自分自身の内面に向き合う時も、大事なことを適当にごまかしちゃってるんじゃないかとハッと気付いた。だから、そろそろ本気で生きてる自分をちゃんと見つめていこうと思った」 本作は、3ピースバンドとしての音を鳴らすことにこだわりを持ちながらも、音の表現を広げる挑戦が随所に感じられる作品となった。ピアノやチェロの音色を加えたり、打ち込みを導入したり、あえてドラムを省いたり、多様なアプローチで楽曲ごとに異なる空気感や情景を描き出している。「音を足そうと思ったことはなくて、むしろ削っていきました。だから、ここで鳴っている音は全部もともと欲しかった音で、最初から入ってたかもしれない」と河西ゆりか(B)は説明する。また、ツアーでさまざまな国を訪れたことで、日本人アーティストである自分を外側から見つめる感覚も生まれたと塩塚は語る。「私たちの音楽は、自分の内側と向き合って静けさを探すような、どこか日本的な感覚があると思う。ラウドな曲であっても、その奥にある空白の気持ちを届けたいといつも思っています」。ここからは塩塚に、いくつかの楽曲を解説してもらおう。 そのとき 今回一番気に入っている曲です。作った時はバンドで演奏しようとは思っていなくて、趣味でキーボードをポチポチ打ち込んでいたらできました。アルバムの曲順を考えた時に、ここからいろんな人たちのお話が始まるよという感じになるかなと思い、本の前書きのようなイメージで1曲目にしました。途中で入るギターのハウリングは、みんなでスタジオに入っていろんな音を出して、ノイズに囲まれながら「今の良かったんじゃない?」とか言い合って時間をかけて作っています。その音を(データとして)ストックしておこうと思っていても、いつもどこかにいっちゃいます(笑)。 doll 私たちは本来、この「doll」みたいな曲を演奏するバンドだと思ってます。いろいろやってみてるけど、このスタイルが一番似合うというか、こういう曲を演奏しているバンドになりたいという願望もあるかもしれない。「何でも作っていいよ」って言われたら、「doll」みたいな曲がいっぱい入ってるEPを作ると思います。 ランナー 歌詞はいつも歌いながら出てくるものを書いていくけど、この曲は後から全部書き直しました。すごくポップな曲調だったので、自分のエモーションをそのまま乗せるより、誰かの物語を淡々と語る方がバランスが取れるかなと思って。でも、これは自分について歌った曲です。私は競技の選手ではないけど、この曲で歌ってる気持ちは全部私自身のもの。走ってるみたいな気持ちで生きています。 don't laugh it off anymore 初めは「cure」を最後の曲にしようと思ってたけど、そうすると終わり方がうちらにしては湿っぽくなるかなと思って、この曲にしました。“笑ってごまかさないで”とか言ってるけど、結局最後はやっぱり“まあね”みたいな感じで、ちょけちゃう曲があった方が、現実との接続がしやすいと思ったから。「ちょっとじゃあ、おまけ的なやつ作りますわ」と言って、パソコンでカタカタと作りました。

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