Virgin

Virgin

IUD(子宮内避妊具)が写った骨盤のレントゲン写真を使った本作『Virgin』のカバーアートは、明るくてビーチのような開放感をたたえたサードアルバム『Solar Power』(2021年)の世界観とはかけ離れている。前作『Solar Power』は、ローレル・キャニオンのフォークやY2Kのソフトロックに影響を受け、太陽が降り注ぎ、ジャスミンの香りが漂うようなサウンドだった。振り返ってみると、あのアルバムの自由奔放なイメージは少し理想的過ぎた。あれはニュージーランド出身でニューヨーカーになった彼女が、そうありたいと願った姿の投影だったのだ。ロードはこの4作目のアルバムについて、Apple MusicのZane Loweに、28歳のシンガーである自分を修正や言い訳なしに描いたポートレートだと説明する。「自分としてはあまり好きじゃないけど、自分の真実を捉えている写真みたいなものね」 2023年から2025年の間に書かれた楽曲は、率直で、直感的でもあり、『Solar Power』のニューエイジ的でチルなムードから、腹の底に響くようなビートへと様変わりしている。ロードは近作において、ジャック・アントノフと共作/共同プロデュースしてきたが、このアルバムはデビューアルバム『Pure Heroine』以来となる彼以外のプロデュースによる作品であり、今回はロサンゼルスを拠点とするエレクトロニックミュージシャンのジム-イー スタックと共同でプロデュースを行った。オープニングトラック「Hammer」では、シュールレアリスム的な内省が脈打つようなベースに変化し、キャナル・ストリートを歩く様子がサイケデリックな幻影となって押し寄せる。「ちょうど避妊をやめたばかりで、自分の感情が信じられなかった」と、ロードはLoweにこの曲が生まれた背景を語る。「すべてが純粋な可能性に満ちてた。最初の音は、体の奥底から湧き上がってくるような感じで、私の妹は『子宮から聞こえてくるみたい』って言ってた」 オーラ診断、午前3時のタバコ、割れた鏡、妊娠検査、自我の崩壊。 「Man of the Year」や「Favourite Daughter」では、女性であること、そして人生の半分近くを有名人として生きてきたことの意味について、問いがさらなる問いを呼ぶ。「Favourite Daughter」は母親へのラブレターであると同時に、10代で世界的なポップスターになった自身の経験を考察する楽曲でもある。「過去10年から12年…いやもっと前からずっと、愛されたい、認められたい、一番になりたいという強い願望があった」と彼女はLoweに明かす。「そして、私がこの世で最初に崇拝し、世界で一番すごいと思ってる人、つまり母について歌っていると同時に16歳の自分に起きた信じられないような出来事についても歌っていることに気付いて、すごく胸を打たれたの」 今やスーパースターとなった彼女は、“自由落下”の中に自由を見出している。シャッフルビートの「Shapeshifter」では「I’ve been up on the pedestal / But tonight I just want to fall(私はずっと称賛される場所にいた/でも今夜はただ落ちていきたい)」と歌う。そして、ありのままのポートレートを描いた本作について「こんなアルバムを出したらどうなるのか、まだ私にも分からない」と語る。けれども彼女はその透明性の中で、ある種の安らぎにたどり着いたのだった。