

「このアルバムで”紫 今"という概念が一つまとまったかなと思います」。紫 今はファーストフルアルバム『eMulsion』についてApple Musicに語る。セルフプロデュース型のマルチクリエイターであり、変幻自在な音楽性とボーカルスタイルを持つ紫 今。SNSで話題となった楽曲「ゴールデンタイム」を2023年にリリースして以来、次々とヒット曲を放ち続けているが、本人はある悩みがあったと打ち明ける。「私はあらゆるジャンルの音楽を聴いて影響を受け、その上で新しい音楽を創造する挑戦をしています。ただ器用貧乏なところもあり、どんな表現もできてしまうだけに個性を出すのが難しいと感じていた。それでもいろいろ手探りでやるうちにだんだんと分かってきて、やっとこのアルバムで一つの形になりました」 意識的にバイラルヒットを狙い、バズの力をアートとして昇華させようと試みた「魔性の女A」、凡人が崇められるパラレルワールドを描く「凡人様」など、これまでの楽曲では鋭くシニカルなテーマをトリッキーなサウンドで表現してきた。そしてアルバムを作るに当たっては、シングルでは表現しきれなかった紫 今の一面を補うことに重きを置いた。「玉置浩二さんのように、心に刺さるテーマを全身全霊で伝えるアーティストが好き。だから私も一人のボーカリストとして、自分の心を丸裸にした曲を書きたいと思いました」。ライブで歌うことを意識したロックテイストの「青春の晩餐」、ピアノと歌のみの一発録りに挑んだ「最愛」など、新曲では自分の言葉を真っすぐにつづり、歌声の熱量をありのままに届けることに心を尽くした。中でも「革命讃歌」は「私の人間像がすごく分かる曲」だと解説する。「これは世間とファンに向けての決意表明であり、自己啓発的な曲でもあります。この先アルバムが何年、何十年と聴き続けられた時に『紫 今はこの歌詞の通りになったね、さすがだね』と言ってもらえるアーティストになるよう、革命を起こしていきたい」 紫 今の実像と虚構が交錯する全15曲。その総括的な意義がタイトルにも表れている。「『eMulsion』は水と油など対極的な物質が奇跡的に混じり合ったものを指す言葉で、対極的な音楽性が一つにまとまったこのアルバムにぴったりだと思った。これで“紫 今のJ-Pop”というジャンルを提示できました」。音楽の革命家、紫 今の快進撃は、ここからさらに勢いを増していく。