

世界中の新進気鋭のアーティストたちの才能を紹介する『Up Next』シリーズ。日本からは、シンガーのヨウとトラックメイカーのNanaeによるユニット、Natsudaidaiにスポットライトを当てる。生年月日が同じ2人が出会い、2023年に結成したNatsudaidai。もともとNanaeが1人で作っていた楽曲をヨウに歌ってほしいと思い、SNSで連絡を取ったのが始まりだった。「最初はホントに軽いノリで誘われて、Nanaeちゃんのプロジェクトに私がサラッと加入した感じです」とヨウは結成当時を振り返る。ユニット名はNanaeが考案。「私が夏大好き、フルーツ大好き。両方合わせて“夏橙”です」と語るように、彼女の好みと感性がそのまま名前に込められている。その由来にちなんで、NatsudaidaiのファーストEP『青果店』のアートワークには橙(ダイダイ)が描かれた。ちなみにヨウはフルーツが苦手で、一切口にしないという。 Natsudaidaiには明確な音楽的ビジョンがある。それは、R&B/ソウル/ジャズ/ファンク/ヒップホップなどのグルーヴと日本語の持つリズムを、違和感なく溶け合わせること。「特に発音の仕方にこだわっています」とヨウは言う。そのために2人で試行錯誤を続け、独自の手法にたどりついたとNanaeが明かす。「まず日本語の歌詞を全部ひらがなにして、母音と子音に分ける作業をします。それから英語特有の息から発声する方法を応用して、エッジを入れながら日本語の母音を発してみたりする。音の立ち上がりが特に大事で、『これは英語っぽい』『いやでも日本語っぽい』って2人でずっと研究しています」。その成果は、新曲「アイス夏 feat. 山本大斗」にも生かされている。例えば、サビで繰り返す「愛す夏」のフレーズでは、エアリーな声色で親密なムードを醸し出す。トラックには夏の気配が色濃くにじみ、「ダンサブルにしたいけど、熱帯的なじっとりした空気感も入れたかった。ただ明るい夏曲というより、ちょっとクセのある感じに捉えていただけたらいいな」とNanaeは解説する。言葉と音の関係性を探りながら日々模索を続けるNatsudaidai。「まだまだ悩みながら研究中です」と声をそろえる2人の前に、日本語ポップスの新たな可能性が広がっている。 プレイリスト内の曲は随時更新されるので、お気に入りの曲はライブラリに追加してください。