大瀧詠一

大瀧詠一

はっぴいえんどが解散する直前の1972年11月にリリースされた大滝詠一初のソロアルバム。同バンドのメンバー全員に加え、林 立夫、松任谷正隆、鈴木慶一、吉田美奈子、シンガーズ・スリー、布谷 文夫といった面々が参加している。はっぴいえんどのロックとはやや異なる大滝のアメリカ指向が反映された仕上がりで、アカペラの小曲「おもい」で幕を開け、後にあがた森魚の自主制作映画の主題歌となったカントリー風バラード「それはぼくぢゃないよ」が叙情性を際立たせる。ソウルが下敷きの「指切り」、ロックンロールの「あつさのせい」など南部の風味も濃く表れている。その他の楽曲も、言葉遊びをファンキーに展開する「五月雨」や、ストリングスを入れた「乱れ髪」、シングルで発表した曲の新バージョン「恋の汽車ポッポ(第二部)」など粒ぞろいだ。最後の「いかすぜ!この恋」は大滝の原点であるElvis Presleyの代表曲のタイトルを並べた歌詞で、このユーモアある楽曲をあえてカセットテープからの録音で収めている。リリースの22年後にウルフルズがカバーしたファンクナンバー「びんぼう」に明らかなように、洋楽サウンドを日本語で力強く、それでいて文学性や実験性も多分に含みながら表現した本作は、長年にわたって音楽シーンに大きな影響を与えていった。