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強烈な楽曲が並ぶ、圧倒的な作品である。『BL』(2020年)以来約3年ぶりのフルアルバムで、この間に発表した「夜天」はアナザーバージョンの「堕天」に、「犬姫」はアルバムバージョンに生まれ変わった。「KING BITCH」に関してはアヴちゃん(Vo)の熱望により、クリエイターとしても知られる歌代ニーナがフィーチャーされ、歌詞も書き足されたリアレンジ版となった。さらに「MYSTERIOUS」「バイオレンス」などアニメ作品のタイアップ曲も収めながら、アルバム全体の濃厚な聴き応えに結びついているのは、何よりもこのバンドの表現がパワフルであるからだろう。例えば、オープニングの「油」はディスコやラップといったこれまでの音楽性をより進化させながら、歌に痛烈な批評精神を込めている。アヴちゃんの言葉で構成された「長台詞」を経て、最後のタイトル曲に到達するころには、壮絶な嵐のように喜怒哀楽を爆発させるこの作品の世界に打ちのめされているはず。女王蜂というバンドの高みは、ここでまたしても更新された。