ザ・ビュッフェ

ザ・ビュッフェ

このバンドの魅力が高いレベルで結実した作品である。前作、2021年の『行列のできる方舟』から3年ぶりとなる通算5作目のオリジナルアルバムは、配信でリリースした楽曲や、CMやテレビ番組のタイアップで話題を集めた歌を収録しながら、タイトル『ザ・ビュッフェ』が表すように“食”というテーマで全体をまとめた。玉置周啓(Vo/G)の一筋縄ではいかないポップセンスは今作でも健在。オープニングを飾る「同釜」やユーモラスなポップソング「味見」といった曲では、磨きがかかった言葉遊びを披露する。その一方で彼特有の叙情性も深みを見せ、「88」のような温かみを持つ作品も味わいがある。ポストパンクやポストロック、インディーロックといった要素を含んだサウンドを背景にしたバンドの表現力は向上するばかりで、中でも全員が一体になってサイケデリックな空間を押し広げていく「うれいらずたのぼー」には現在の充実ぶりがうかがえる。4人が真っすぐにこちらを見つめるジャケットからは、自信のほどが伝わってくるかのようだ。

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