リトアニアの音楽は、1989年にソビエト連邦が崩壊するまでの長い間、影に隠れた存在であり、当局によって抑圧されていた時期もあった。しかし今日では、ギドン・クレーメルやマルク゠アンドレ・アムランをはじめとする一流の演奏家たちがレコーディングで取り上げるようになったことで、このバルト海に面した国の輝くような音楽遺産が形成されつつある。私たちは今や、ドヴァリョーナスによる「Élégie for Violin and String Orchestra」が持つ後期ロマン派的な甘美さや、ゴドフスキーのピアノ・ソナタの豊かなピアニズムなど、過去150年間にわたるリトアニア音楽の幅広さと奥深さに触れられるようになった。また、作曲家としてのみならず画家としても国際的に活躍したČiurlionisによる民族音楽のエッセンスを含む魅力的な楽曲や、現代の作曲家であるŠerkšnyteの「De profundis」の不気味な音世界もリスナーを引き付けている。