

音楽の最も美しい瞬間を作り上げているものが何かを説明することは難しい。しかし、すべてに共通しているのは「魂」であると、ピアニストであり、Classical Connections Radioのホストを務めるアレクシス・フレンチは語る。「音楽家たちの魂のこもった芸術性と卓越した技術が、リスナーの感情の深くに、ダイレクトにつながるのです」。このプレイリストには、フレンチが「可能性という芸術を体現している」とApple Music Classicalに語るアーティストたちの作品が並ぶ。 まずはベートーヴェン。最も“魂”に満ちた内省的なピアノ作品の一つであるピアノ・ソナタ『月光』の冒頭楽章を、大作曲家ベートーヴェンに生涯をかけて取り組んできたダニエル・バレンボイムの演奏で聴く。ジャズピアニストのジョン・バティステもまた、ベートーヴェンに情熱を傾けていて、それが2024年の最も衝撃的なアルバムの一つを生み出した。「バティステは『Beethoven Blues』で、『エリーゼのために』にニューオーリンズのテイストと鋭い新しい洞察を加え、驚くほど新鮮な視点を提示しています」とフレンチは語る。 ジャズとクラシック音楽の親和性は、このプレイリストで繰り返し取り上げられるテーマだ。ジャンルの境界を曖昧にしたアート・テイタムやキース・ジャレットの演奏に加え、1924年の初演でクラシックのリスナーを魅了したガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』も紹介される。「ララ・ダウンズが弾く『ラプソディ・イン・ブルー』は、きらびやかで息をのむような新しい解釈です」とフレンチは言う。「アメリカのクリエイティブな精神を体現しているこの名作を再構築し、新たな命を吹き込んでいます」 プレイリストには、ラヴェルの『ピアノ協奏曲 ト長調』の魅惑的な緩徐楽章や、グレン・グールドによる1981年版『ゴルトベルク変奏曲』の「アリア」、グレツキの『交響曲第3番』の心を打つ緩徐楽章など、クラシック音楽の不朽の名作や名演も随所にちりばめられている。また、オーケストラと録音された鳥の声によるラウタヴァーラの幻想的な『鳥と管弦楽のための協奏曲』や、フォーレの弟子ナディア・ブーランジェがニューヨーク・フィルを指揮した1962年録音の『レクイエム』といった貴重な発見も見逃せない。 さらに、フレンチの“魂”を表現した自身の楽曲も含まれている。「このプレイリストは、私の最新アルバム『Classical Soul, Vol. 1』の物語を反映したものです」と彼は言う。「これは、私たちの“内なる交響曲”を称えるものであり、感情の源泉と、時を超えた旋律を通じて、私たちの価値観を再構築する試みなのです」