

レオシュ・ヤナーチェクは、自身のルーツミュージックであるチェコ民謡のエッセンスにモダンな味付けを施し、唯一無二の質感を持つ音楽を生みだした。1854年にモラビア地方のフクバルディ村で生まれたヤナーチェクは、キャリアの初期にはブルノで合唱団の指揮やオルガンの指導をしながら作曲を行っていた。また、民謡の研究に情熱を注ぎ、日々の生活から生み出されたそれらの歌の中に本質的な芸術性を見いだしていたという。作曲家として国際的な評価を得るには長い時間がかかったが、60歳を過ぎた頃に出会った若い女性カミラ・シュテスロヴァーに夢中になったヤナーチェクは、この恋によって創作意欲をかき立てられ、人生終盤の10年にいくつもの代表作を書いた。このプレイリストでは、その時期に書かれた管弦楽曲の『Sinfonietta』や、強烈な不協和音と告白めいた雰囲気が特徴的な二つの弦楽四重奏曲、そしてシュテスロヴァーとの関係を寓意的に描いたオペラ『Káťa Kabanová』をはじめとする、ヤナーチェクの名曲をたっぷりと聴くことができる。