はじめての ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

はじめての ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

ドイツのバリトン歌手ディートリヒ・フィッシャー゠ディースカウは、第2次世界大戦後に本格的なキャリアをスタートさせ、その類いまれな才能を開花させた。歌詞を重視した新たなアプローチをもたらしたフィッシャー=ディースカウは、シューベルトの歌曲の最も優れた解釈者の一人となり、『Winterreise(冬の旅)』を何度となくレコーディングした。中でもピアノにジェラルド・ムーアを迎えた録音は、半永久的に高い評価を得ている。彼の、知性的でいながら歌の世界に深く入り込んだスタイルと、豊かな表現力と温かい響きを兼ね備えた歌声は、ドイツ歌曲に新鮮な息吹をもたらしたのだ。一方でフィッシャー=ディースカウは、モーツァルトからアルバン・ベルク、リヒャルト・シュトラウス、アリベルト・ライマンの作品まで、多様なオペラ作品においても幅広い役をこなした。またブリテンが『War Requiem(戦争レクイエム)』において彼のためのパートを書いたことも知られている。