

作曲家であると同時に名ピアニストでもあったセルゲイ・プロコフィエフは、自身の公演のために五つの協奏曲を含む多くのピアノ曲を書いた。同時にプロコフィエフは交響曲の作曲家としても音楽史にその名を刻んでいる。中でも第1番と第5番は高い人気を誇り、1947年の第6番は彼の最も偉大な交響曲とされる。他にもバレエやオペラの名作をはじめ、映画音楽、室内楽など、幅広いジャンルに優れた作品を遺した。一方、二つの大戦やロシア革命の時代を生きた彼の人生は波乱に満ちたもので、革命後はアメリカやフランスなど海外で活動し、母国に戻った後もソ連当局との関係は複雑なものだった。その苦しみが表れたような作品もあるが、オーケストレーションの輝きに満ちた響きや、独特の和声進行が生み出す万華鏡のような音世界は、他に類を見ないものだ。